長岡技術科学大学
   
 

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北島宗雄(1995)

北島宗雄. (1995). ヒューマンコンピュータインタラクションのモデル. 新版情報処理ハンドブック, 1137-1140.

 

ヒューマンコンピュータインタラクションのモデル

ヒューマンコンピュータインタラクションのモデルは人間がコンピュータ を操作する過程に関与する要素とそれらの間の関連を明らかにするための考え方 を提供することを目的としているが,ヒューマンコンピュータインタラクション においては,特に認知的な側面をその要素として取り上げることが必要である. こ の分野の研究の多くは,その土台をノーマン[Norman,1986 ]が提唱してい るインタフェースの見方に置いている.ノーマンは,タスクを実行するというこ とを,タスクを構成するゴール等の心理量を具体的な操作などの物理量へマッピ ングすることとして捉え,マッピングに係わる要素として,目標・意図,行動系 列の詳述,心的目標・意図から行動系列へのマッピング,システムの物理的な状 態,システムの制御機構,システムの物理機構とシステム状態の間のマッピング, システム状態の解釈,行動の結果の評価,を挙げている. こ れらの要素をユーザの観点から整理し直すと,ユーザの行動を概ね次の7 つ のステージに分けて捉えることができる. (1)目標を形成する, (2)意図を形成する, (3)行動系列を具体化する, (4)行動を実行する, (5)システムの状態を知覚する, (6)システムの状態を解釈する, (7)目標・意図の観点から結果を評価する. こ のうち(2),(3),(4)は機器に働きかけて操作を実行することに,(5),(6),(7) はその結果として起こる機器の状態の評価に関連している. こ の見方はヒューマンコンピュータインタラクションに限らず,よりひろく機 器とのインタラクションの一般的な考え方を提供している.しかしながら,個々 のステージがどのように処理されるか,また,7 つのステージがどのような順序 で生起するかなどの制御について詳細な考え方が示されているわけではなく,あ くまでも近似的な見方として捉えておくことが重要である.

 

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