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 北島宗雄 (工学博士) 略歴(英語)

  名誉教授・国立大学法人 長岡技術科学大学

 

研究成果(英語)

 

研究成果(日本語)

 


認知科学講義

 

【講義内容】

  1. 概要説明
  2. 人間の知覚・認知・運動の近似モデル
    1. モデルヒューマンプロセッサ(Model Human Processor)
    2. ヒューマンパフォーマンス
      1. 知覚と運動
      2. 単純な認知判断、学習
      3. 複雑な情報処理
  3. 人間の行動の大まかな理解
    1. Fittsの法則
    2. アフォーダンス
    3. メンタルモデル
    4. ヒューマンエラー
  4. 人間の認知行動の計算モデル:プロダクションシステム(ACT-R)
    1. 手続き的知識と宣言的知識の表現方法
    2. 行為の選択過程
    3. 手続き的知識と宣言的知識の学習
  5. 認知モデルに基づくユーザビリティ評価
    1. ルーチンタスクの実行時間の予測(GOMSモデル)
    2. 初めて行うタスクの操作選択過程の予測(Cognitive Walkthrough)

 


代表的な著書

 

北島宗雄・李昇姫. (2022) 認知科学から考える 感性インタラクションデザイン. 博英社.

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Muneo Kitajima. (2016) Memory and Action Selection in Human-Machine Interaction (Human-Machine Interaction Set: Information Systems, Web and Pervasive Computing). Wiley-ISTE.

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北島 宗雄・豊田 誠. (2011) CCE(Cognitive Chrono-Ethnography)の実践的概説. オンブック.

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北島 宗雄・内藤 耕(編著). (2010) 消費者行動の科学. 東京電機大学出版局.

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豊田 誠・北島 宗雄. (2010) 生命体自律活動協調場理論:幸福感に満ちた社会であるために 自律システム間の相互コミュニケーション(改訂版). オンブック.

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豊田 誠・北島 宗雄. (2008) 脳の自律システムの仕組みと性質:行動の基準は効率から幸福・満足へ 〜時間制約下での動的人間行動モデル〜. オンブック.

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北島宗雄(監訳). (1999) インタラクティブシステムデザイン. ピアソン・エデュケーション.

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書評(日経バイト)   ユーザにとって使いやすいシステムとはどんなものか。これは,システム設計者にとって永遠の課題である。本書はこの課題に真正面から取り組んでいる。ユーザのニーズを把握するためのインタビュー方法から,システム分析/設計,ユーザのメンタル・モデルなど,対話的なシステムを設計するにあたり考慮すべきことを広範に盛り込んだ。システム内部の設計についての解説書は多々あるが,ユーザ・インタフェースについて念入りに解説しているものは珍しい。 Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

 

  

 


略歴 (1980年〜)

 

認知科学者.現在の研究テーマは,人間の日々の意思決定と行動選択,ネットワーク化社会における人間の行動生態のシミュレーション,リアルタイム制約下における意識・無意識的行動の理解のための認知アーキテクチャ構築.最新の研究成果は,講義ノート"O-PDPシステム:構造とプロセス - 脳の統合理論の探求"にまとめられている(2018年3月,フランス,ロレーヌ大学心理学・神経科学研究所での発表資料)

1980年,東京工業大学理工学研究科物理専攻修了(理論物理学,原子核理論).1980年より通商産業省工業技術院製品科学研究所において研究員として研究活動を開始.1986年,工学博士(早稲田大学)を取得.1991年,コロラド大学ボルダー校認知科学研究所にて1年間,客員研究員.2008年,産業技術総合研究所サービス工学研究センター主幹研究員.2011年,長岡技術科学大学経営情報工学専攻教授に着任.

1980年から1985年の間,視覚障害者用音読型文字読取装置(読書器)の開発に関する研究に従事した.この研究において,印刷された日本語文字を認識するための新しい方法を開発した.その後,CCDカメラを手動でスキャンして得られた印刷文字を1秒間に最大4音素の速度で合成音声に変換できるプロトタイプのマイクロコンピュータベースの読書器を開発した.このプロジェクトの成果を電気通信学会の論文として発表し,その成果をまとめて1986年に早稲田大学から博士号を取得した.

その後,研究分野は,ヒューマン・コンピュータ相互作用(HCI)における認知プロセスに関する研究に移行した.1989年に International Journal of Man-Machine Systems から英語での最初の原著論文を発表した**.この研究は,HCIにおける人間の認知処理を表現するフォーマルなシステムの開発を行ったものであり,この表現システムにより,ユーザの作業負荷,知識伝達の容易さなど,人間のパフォーマンスに関する定量的な予測を行うことが可能となる.

1991年に,米国ボルダーのコロラド大学の認知科学研究所に客員研究員として滞在し,Cognitive Complexty Theory の開発者として知られているピーター・ポルソン(Peter Polson)教授(心理学)と,テキスト理解の世界的リーダーであるウォルター・キンチ(Walter Kintsch)教授(教授)の指導のもと,HCIの認知モデリングに関する研究を進めた.

Polson教授とKintsch教授との出会いは,将来の研究キャリアを形作る上での決定的なイベントであった.特に,Kintschの文章理解の構造統合理論(Construction-Integration Theory;CI理論)は,その後の研究の理論的基礎となっている.

Polson教授と共同で,経験豊富なGUIユーザでも操作エラーを犯すがその仕組みに関する認知モデルを1995年に構築した*.このモデルは,Kintschの action planning に関するCI理論をベースとして,指示理解のプロセスを含むように拡張され,コンピュータシミュレーションプログラムとして実装され,1997年に論文として公開された* LICAIモデル).LICAIは, LInked model of Comprehension-based Action planning and Instruction taking (理解)の略である.

研究の焦点は,LICAIモデルが対象としていた受動的なターゲット検索から,ウェブナビゲーションや実環境での道案内などのアクティブなターゲット検索にシフトし,Polson教授と共同で,Webを介したユーザのナビゲーションをシミュレートするモデル, CoLiDeS(Comprehension -based Linked model of Deliberate Seach)モデルを構築した. LICAIモデルに,情報表示の一部への集中するための注意メカニズムを含めたことが特徴である( CoLiDeSモデルのデモ). このモデルは,CHI2002で提案されたWebユーザビリティ手法 ”Webの認知的ウォークスルー(CWW;Cognitive Walkthrough for the Web)”の理論的基盤を提供している.CWWは,標準的なWebユーザビリティ手法の一つとして認められている.成果は,2002年*,2003年*,2005年* のCHIで発表した.

CI理論に基づく認知モデリングとそのウェブユーザビリティへの応用をCHI会議で発表する中で,CHI2001(シアトルで開催)において,豊田誠氏との決定的な出会いがあった.豊田氏は,1970年代に,オペレーティングシステムを日本の環境に適応させることでメインフレームコンピュータの日本への導入に大きく貢献したシステムアーキテクトである.豊田氏は,オートポイエーシスの概念を元に,心の統一理論を構築することに関心を示していた.考え方のベースは,Allen Newell と Herbert Simon にあり,研究の方向性に共鳴し,以降,今日に至るまで,心の統一理論の構築を共同で行ってきている.

議論を進める中で,心の統一理論の基盤となるいくつかの理論,満足度最大化機構(MSA),構造化ミーム理論(SMT),脳内情報流体力学(BIH)を構築し,米国の Cognitive Science 学会で,発表してきた.さらに,,日常的な環境における人間の行動選択を意識および無意識の Two Minds プロセスとしてとらえてシミュレートするモデル Model Human Processor with Realtime Constraints(MHP/RT)を構築し,発表の場を BICA(Biologocally Inspired Cognitive Architecture)に移して活動を行い,2011年* と 2013年*に,論文として発表した.同時に,この行動選択理論的に基礎を置いたユーザの研究方法論 Cognitive Chrono-Ethnography(CCE)を開発し,日常的な行動のさまざまな側面に適用し,満足構造の違いによる行動の類型化,知覚・認知・行動プロセスと環境との同期の取り方の違いによる行動の類型化を行い,従来の行動理解手法では解明できなかった側面を明らかにすることに貢献してきた*.これらの成果は,ウェブサイト Organic Self-Consistent-Field Theoryにて,公開している.

これらの理論・実践の成果は,Memory and Action Selection in Human-Machine Interaction と題して Wiley から2016年に出版した*.最新の成果は,"O-PDP System: Structure and Process O-PDP System: Structure and Process - In Quest of a Unified Theory of Mind -"*にまとめられている.

豊田氏とともに開発した脳理論は,人間の行動を考える上で重要な意味を持っている.それは,知覚認知運動プロセスと記憶プロセスが互いにどのように相互作用して,一貫性のある行動を形成し,出生してから発達するのかを検討するための基礎を提供する.この視点は,OECDのPIAAC(Programme of International Assessment of Adults Competencies)の第2回目の調査のコアコンセプトを議論するための作業部会にHCI分野で主導的な研究者として招待され,視点を定義するのに貢献した*

VRにおける没入感への応用を,フランスのロレーヌ大学の心理学・神経科学研究所のJérôme Dinet教授と共同で開始した.我々の脳理論に基づいて,没入感生起の脳内メカニズムの解明に取り組んでいる.成果は,ACM SIGGRAPHが支援するVRIC(Laval Virtual 2018 - VRIC)で発表した.

 

  

 


最近のトピック

 

北島宗雄・李昇姫. (2022) 認知科学から考える 感性インタラクションデザイン. 博英社.

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Muneo Kitajima. (2016) Memory and Action Selection in Human-Machine Interaction (Human-Machine Interaction Set: Information Systems, Web and Pervasive Computing). Wiley-ISTE.

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最近の主な活動(過去3年間)

 

  1. 2024.4 - 学会発表(4.14) - AIVR 2024 : The First International Conference on Artificial Intelligence and Immersive Virtual Reality (2024.4, Venice, Italy)、Kitajima, M., Toyota, M., Dinet, J., Bystrzycki, A., Eby, A-M., and Gérard, M.: Basic Senses and Their Implications for Immersive Virtual Reality Design.
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  2. 2024.4 - 学会発表(4.14) - AIVR 2024 : The First International Conference on Artificial Intelligence and Immersive Virtual Reality (2024.4, Venice, Italy)、Nakagawa, T., Kitajima, M., and Nakahira, K.T.: Model-Based Analysis of the Differences in Sensory Perception between Real and Virtual Space : Toward "Adaptive Virtual Reality".
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  3. 2024.4 - 学会発表(4.14) - COGNITIVE 2024 : The Sixteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2024.4, Venice, Italy)、Nakahira, K.T., Kitajima, M., and Toyota, M.: Practice Stages for a Proficient Piano Player to Complete a Piece: Understanding the Process based on Two Minds.
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  4. 2024.4 - 学会発表(4.14) - COGNITIVE 2024 : The Sixteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2024.4, Venice, Italy)、Solt, J., Mailloux, A., Dinet, J., Da Silva, S.F., Kitajima, M., Nicolas, G. : Development of Children's Crossing Skills in Urban Area: Impact of Age and Traffic Density on Visual Exploration.
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  5. 2023.6 - 学会発表(6.26) - COGNITIVE 2023 : The Fifteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2023.6, Nice, France)、Kitajima, M., Toyota, M., and Dinet, J.: Art and Brain with Kazuo Takiguchi - Revealing the Meme Structure from the Process of Creating Traditional Crafts -.
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  6. 2023.6 - 学会発表(6.26) - COGNITIVE 2023 : The Fifteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2023.6, Nice, France)、Hanssen, M., Kitajima, M., and Lee, SH.: Cognitive Chrono-Ethnography (CCE) to Reveal Personal Walking Motivations and Nudging Habit Formation in Reaction.
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  7. 2023.6 - 学会発表(6.26) - COGNITIVE 2023 : The Fifteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2023.6, Nice, France)、Dinet, J., Kitajima, M., Fichet, L., Paquet, C., and Coursac, V.: A Gamified Sorting Test to Assess Cognitive Flexibility in Personnel Selection: A Pilot Study.
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  8. 2023.6 - 学会発表(6.26) - COGNITIVE 2023 : The Fifteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2023.6, Nice, France)、Nakahira, K.T., Harada, M., and Kitajima, M: Local-Global Reaction Map: Classification of Listeners by Pupil Response Characteristics when Listening to Sentences Including Emotion Induction Words - Toward Adaptive Design of Auditory Information -.
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  9. 2022.12 - 原著論文(12.31) - International Journal on Advances in Intelligent Systems, 15, 188-200、Kitajima, M., Toyota, M., and Dinet, J.: "Guidelines for Designing Interactions Between Autonomous Artificial Systems and Human Beings to Achieve Sustainable Development Goals"
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  10. 2022.4 - 学会発表(4.28) - COGNITIVE 2022 : The Fourteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2022.4, Barcelona, Spain)、Kitajima, M., Toyota, M., Dinet, J., Amiot, C., Bauchet, C., and Verdel, H.: Language and Image in Behavioral Ecology.
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  11. 2022.4 - 学会発表(4.28) - COGNITIVE 2022 : The Fourteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2022.4, Barcelona, Spain)、Kitajima, M., Toyota, M., and Dinet, J.: Guidelines for Designing Interactions Between Autonomous Artificial Systems and Human Beings.
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  12. 2021.12 - 原著論文(12.31) - International Journal on Advances in Systems and Measurements, 14, 148-161、Kitajima, M., Toyota, M., and Dinet, J.: "How Resonance Works for Development and Propagation of Memes"
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  13. 2021.4 - 学会発表(4.23) - COGNITIVE 2021 : The Thirteenth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2021.4, Porto, Portugal)、Kitajima, Toyota, and Dinet: The Role of Resonance in the Development and Propagation of Memes.
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  14. 2021.2 - 学会発表(2.9) - 16th International Joint Conference on Computer Vision, Imaging and Computer Graphics Theory and Applications (VISIGRAPP 2021) (2021.2, Vienna, Austria)、Murakami, Shino, Nakahira, and Kitajima: Effects of Emotion-induction Words on Memory of Viewing Visual Stimuli with Audio Guide.
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  15. 2020.10 - 学会発表(10.25) - COGNITIVE 2020 : The Twelfth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2020.10, Nice, France)、Dinet and Kitajima: The Concept of Resonance: From Physics to Cognitive Psychology.
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  16. 2020.10 - 学会発表(10.25) - COGNITIVE 2020 : The Twelfth International Conference on Advanced Cognitive Technologies and Applications (2020.10, Nice, France)、Kitajima: Cognitive Science Approach to Achieve SDGs.
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  17. 2020.2 - 学会発表(2.28) - 15th International Joint Conference on Computer Vision, Imaging and Computer Graphics Theory and Applications (VISIGRAPP 2020) (2020.2, Valletta, Malta)、Hirabayashi, Shino, Nakahira, and Kitajima: How Auditory Information Presentation Timings Affect Memory When Watching Omnidirectional Movie with Audio Guide.
    -- Best Poster Award 受賞!!
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  18. 2019.11 - 原著論文 - ヒューマンインタフェース学会誌(2019.11)、中平勝子・寺岡耕平・長井貴也・北島宗雄: "読譜時視行動パタンによる演奏技能の推定"
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