長岡技術科学大学
   
 

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北島宗雄 & 中島正人(2010)

北島宗雄 & 中島正人. (2010). CCE:認知的クロノエスノグラフィ 〜 日常の行動選択を理解するための調査方法 〜 . 第12回日本感性工学会大会予稿集2010.

 

CCE:認知的クロノエスノグラフィ 〜 日常の行動選択を理解するための調査方法 〜

人間は,最大限の満足を得られるように行動を選択する.その際には,その時点までの経験を通じて蓄積された知識を利用したり,外部環境から入力される情報や個体自身から発せられる情報に対して利用可能な認知資源を適切に割り当てて処理を行う.本稿では,Toyota & Kitajima [1] によって開発が進められている人間の日常生活における行動選択過程のシミュレーションモデルである“Model Human Processor with Real Time Constraints(MHP/RT)”に基づいて人間の日常生活における行動選択を理解するための新しい調査方法である認知的クロノエスノグラフィ(CCE:Cognitive Chrono-Ethnography)を紹介する.CCEによる調査では,人間の行動選択の様相を調査するフィールドの決定後,そこでの人間の行動選択過程をMHP/RTによりシミュレートし,行動選択の結果に大きな影響を及ぼすクリティカルパラメータを見いだす.そして,クリティカルパラメータによって定義される空間内で調査者が興味をもつ領域に対応するモニタの活動を現場で観察し,記録する.その後,記録を見ながら,そのモニタの行動内容と行動変容過程を記述するための構造化インタビューを行う.その結果を分析することにより,調査対象フィールドで行動を行っている人々の行動変容過程のモデルの構築を行う.本稿では,CCE調査の例として,プロ野球ファンが普通のファンから熱狂的なリピータに変容していく過程のモデル構築例を紹介する.

 

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