-- 北島宗雄(1996)北島宗雄. (1996). 適応的知識利用の認知モデル. 生命研研究発表会.
適応的知識利用の認知モデル日常の生活においては、さまざまな道具や機器との関わりが極めて重要である。特に、現代 においては、生活のさまざまな局面において情報機器と接する機会が多くなり、その重要性が増 してきている。オフィスには、ワープロ、パソコン、ワークステーション、電話、ファックス、 ビデオ等の情報機器がある。また、家庭には、テレビ、オーディオ機器、電子レンジ、洗濯機等 の家電機器があり、それらにはマイクロコンピュータが内蔵されていて、そのインタフェースは 情報機器と変わりがない。また、自動車、公衆電話、券売機、銀行などの現金自動支払機も同様 である。これらのなかには、問題なく使えるものもある。また、何回かの試行錯誤の末にどうに か使えるものもある。全く分からずにあきらめてしまうものもある。いずれの場合も機器からは 同じ情報が提供されているにもかかわらず、それらの情報が人間の脳で処理されるしかたに依存 して異なった行動の選択が行われている。日々の生活の快適性、安全性を向上させるためには、 このような人間の認知行動プロセスを十分に理解し、それに基づいた機器のインタフェースのデ ザインを行う必要がある。 機器から提供される情報を処理するプロセスには知識が関わっている。本稿では、人間の認 知行動プロセスを知識の利用の観点から概観し、2 つの質的に異なった知識利用の形態(ルーチ ン的知識利用と適応的知識利用)があることを説明するとともに、日常的な機器の利用において 特に重要な適応的な知識利用の特質をルーチン的知識利用の場合と対比させながら明かにする。 また、それぞれの知識利用形態に適合したインタフェースデザインの例を示し、知識利用形態に 応じたインタフェースデザインの必要性を述べる。
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